失敗した留学経験から得たもの
私にとって語学留学は高いお金を払ってるのに英語が身につかなかった苦い思い出である反面、現地でのエキサイティングな生活や多国籍の友だちと過ごした時間楽しい思い出もたくさん詰まっています。
海外へ行ったことがある方なら想像できるかと思いますが、外国というのはいるだけでテンションが上がります。見ることやることが新しい体験ばかり。私は1年留学する前に年に2回、合計10回以上アメリカへ観光に行ったことがありました。
海外旅行(アメリカ限定)に関しては、幸運にも私は友人に恵まれていました。航空会社に友人がいて、安い航空券が手配できること、そして現地では友人の家に泊まれるので、宿泊費がいらないからです。食事代を除けば、1回の旅行でかかる費用は5万円程度で済んでしまうのです。最近だとサーチャージがあったり、円安だったり、海外旅行はなかなか難しいですよね。
なので、海外に住むなんてことになったら、毎日がヒャッホーです。英語なんてやってられますかっ!って気持ちになってしまうのです。そのために来たと言うのに。月日はあっという間に流れ、「明日から本気出す」が帰国日まで続いてしまった感じです。私が住んでいたニューヨークは英語以外に楽しいことばかりあって、その欲望を自分で制御することは不可能だったのです。
旅行で行くのと、現地に住むとでは想像以上に違うものです。はるかに大変なことも多いですが、住んでいないと味わえない貴重な経験がたくさんありました。中でも「現地で友だちができる」ことは格別の体験です。多国籍の友人はもちろん、留学中は禁断の日本人と遊ぶことも含め、異国の地で友だちと行動することの面白さは言葉で語り尽くせないものがあります。
語学学校で仲良くなったのは、ブラジル人(男性)やベネズエラ人(女性)、韓国人(女性)、そして日本人(男性)。みんなでコミュニケーションするとなれば、共通の言語は英語しかありません。逆に、英語さえあればいろいろな国の人と話せるということを身をもって体験した、今思えば本当に貴重な経験でした。
「英語を話す」と言っても本当にカタコトもいいとこなんですけどね。それでも話したいという気持ちがあれば、意思は通じ、意外と簡単に仲良くなれるのです。
語学留学の一番の目的だった語学学校で習った英語よりも、そこでできた多国籍の友だちによって「英語が実に便利な言語であること」「英語で話す楽しさ」を見つけられたこと。私の語学留学はそこに大きな価値があったのです。
海外より日本にいた方が英語学習に集中できる
とはいえ、留学したからと言っていきなりうまくはなりません。学校以外で友だちと会う機会もありましたが、私のコースは夕方の2時間だけだったので、絶対的に話す量は少なかったのです。現地で自分の意思で英語を話していた時間は、授業と授業の間の休みと帰りの地下鉄の駅までと、電車がくるのを待つ間くらいでした。
一方で日本にいる今の私は、毎日オンライン英会話で25分、ほとんどの時間を自分が中心で話をしています。そして当時と一番違うのはシャドウイングによって培われたリスニング力です。今は相手の言葉を聞き取る力があるため、自分がうまく話せなくても何とかなるのです。そしてオンライン英会話を毎日やるうちに学習の要領がわかってきていたので、オンライン英会話とシャドウイングを軸に英語学習を進めた結果、英語を習得することができたのです。
留学当時何が困ったかって、相手の言ってることが半分もわからなかったことでした。留学生同士が使う英語は、もちろん中にはかなり流暢な人もいましたが、平均的にゆっくりで、かつ発音がハッキリして聞き取りやすかったのです(ただし出身国によって異なる独特のアクセントには苦戦します)。それに比べて授業でアメリカ人講師が話す英語の速いことと言ったら…。
英語学習に関しては、他に誘惑が少ない(刺激が少ない)日本の方が集中して学習でき、習得しやすいのです。ただ前に書いたように、英語を話す楽しさや英語の必要性を肌で感じることができた語学留学があってこそ、英語学習のモチベーションを維持できたのは間違いありません。
語学留学のいいところまとめ
留学によって学んだことは、英語だけではありません。知らなかった大切なことをたくさん学ぶことができました。
・地球に多くの異なる言語を持つ人が住んでいること
・だからこそ英語を使うことが非常に意義があること
・そしてそのコミュニケーションが本当に楽しく、文化による価値観の違いやカルチャーショックがあること
などです。
たくさん注ぎ込んだお金も、英語を学ぶ目的ではなく、それ以外の貴重な体験のためと思えば全く損した気分はしませんでした。当時としてはせっかく「語学留学」と意気込んでいたのに、英語が身につけられなかったことにものすごくショックを受けていたのですけどね。
最近はオンライン英会話で有名になったフィリピンへの短期集中留学とかもよく見かけます。やはり欧米に留学するのと比べ大幅なコストダウンが図れるようです。個人的には非常に興味がありますが、実際カリキュラムを見ると、結構な英語漬けな日々が待っているようで、正直耐えられるか不安です…。
どのやり方を選べば正しいかはその人次第ではありますが、短期集中を選んだとしても英語学習の道のりは果てしなく長い前提で考えていかなければなりません。1ヶ月フィリピンに留学して英語漬けで大幅にスキルアップをしても、日本に戻ってきて英語に触れることがなければ、あっという間に英語が口からでなくなってしまうでしょう。
考え方はダイエットと一緒です。1ヶ月間ダイエットをして大幅に痩せたとしても、終わってからダイエットを考えずモノを食べたら、あっという間に元通り(リバウンド)です。
英語学習に燃えて、語学留学して集中的に頑張るのはよいですが、帰国後に燃え尽きては何にもなりません。それだったら、英語習得を目的にしないで、お金で買えない体験や文化を学ぶ目的の方が実に有意義で、楽しい思い出ばかり作ることができます。英語に関しては、現地の人たちとの会話で英語のスキルよりも「英語の必要性を感じる力」を身に付けていくのです。
少し甘い考え方かもしれませんが、私は英語学習は短期よりも長期的プランを組んでやった方が、最終的にはうまくいく確率が高いのではないかと考えています。
さいごに
英語を早く習得したい気持ちで語学留学をするのは、もちろん意義のあることです。でも、英語学習のやり方を知らずに短期集中で学習して終わり(続けない)ですと、あまり意味がなくなってしまいます。そういう学習方法はTOEICなどで高得点を取るための学習には向いていますが、本来あるべき姿のコミュニケーションを目的とした英語学習にとってはむしろマイナスなのです。言語は使わなくなるとかんたんに錆び付きますから。
以上から語学留学は語学目的よりも、生活自体が楽しく、有意義な時間を過ごせるようなプランでやることを私は強くオススメします。留学中そして帰国してからも英語力が錆びれないように、毎日のオンライン英会話を併用すると、より効率的な英語学習になるでしょう。