まず英語を目で学ぶ日本人
学校の英語教育を始め、日本人が英語を習おうとするとき、教科書や参考書を見て学習する習慣があると思います。つまり、英語を目で見て学習するのです。黒板に書かれた内容や参考書の内容をノートに書き込む学習は、数学や理科と同じように英語でも定番ではないでしょうか。
私はオンライン英会話を中心として英語を学習していくうちに、その視覚に頼る学習方法こそが英語の習得を妨げるガンであると確信しました。視覚に頼ると、どんな英語学習の環境でも英文を目で確認しないと気が済まなくなり、逆に視覚で確認できるものがないと英語がわからなくなってしまうのです。
一方で、子どもが言語を身に付けるときを考えてみてください。2〜4才の子どもは字が読めません。完全に耳頼りです。もちろんYouTubeビデオやTVアニメを目で見て言語を覚えていくこともありますが、文字で学習することはありません。
つまり言語習得の最初のステップは耳で学んでいきます。そしてそれをマネして口から声を出し、覚えていきます。耳と口の英語学習でだんだんと言葉を習得していくのです。
私は自分の子どもの言語習得プロセスを目の当たりにし、視覚中心の英語学習を一切止めました。その結果、コミュニケーションができる英語を身に付けることができました。英語学習で最も大事なのは「音」だったです。
たとえば洋画を見ているとき、英語が速すぎたり、スラングが多かったりで英語を聞き取れない人が多いのではないでしょうか。しかしBlu-rayやDVDで英語字幕をオンにして聞いてみると、実はよく知ってる英語を話していたりします。わかるはずの英語でさえ、音だけになるとわからない。いかに私たちが目に頼った英語学習をしてきているかよくわかる現象ではないでしょうか。
KAT-TUNの赤西仁さんに学ぶ英語学習の姿勢
元KAT-TUNの赤西仁さんはアメリカ進出のため、語学留学などで英語を身に付けたようですね。彼の英語学習方法に興味があったのと、実際どんな風に英語を話しているか興味があり、調べてみました。
実際話しているYouTube動画をいくつか見つけましたが、この2つを見る限りなかなかの英語力を持っているなと感じています。
私が一番驚いたのは、ネイティブの英語を聞き取る力です。事前にインタビューで何を聞かれるかわかっていたなら、もちろん答えを用意しておけばいいでしょう。でもこの動画を見る限り、即興、すなわちその場で聞き、そして考え、自分の言葉で話している感じです。
英語で会話している赤西仁さんは堂々としていて、日本人にありがちな照れ隠しもなく、自信が溢れているようです。かなり場慣れをしている印象でした。インタビューアーの質問をきちんと理解し、伝えたいことが伝わっており、話してる態度に自信が溢れている。英語を道具として使えている、目的を果たしている。
ネットで調べた限り、彼の英語学習方法はバイリンガルの友人の英語を聞いてマネをしたり、間違った英語でも気にしないようにしていたり、まさにこのサイトでも何度も言っていた「耳と口を中心とした英語の学習方法」を実行していました。そして恥を捨て間違いを気にしないアウトプットをしていたようなのです。
思った以上にしっかりと英語を習得していて驚きました。相当頑張ったのでしょう。
正しさより、気持ちを伝える英語を身に付けよう
私たちが英語を学習し始める上で目指すべき最初の目標は、美しい・正しい英語ではなく、気持ちを伝えるための英語です。そしてもう一つ、相手の話を聞ける耳を持つこと。そのために必要なのは、語順のルール(主語+動詞の語順)を守ることと、言いたいことを表現する&理解するための単語、フレーズです。英語の参考書や学校・塾では、コミュニケーションを想定した英語を教えてくれません(基本的にテストで点数を取るための英語です)。だからなかなか英語を身に付けることができません。
正確な英語にしていく作業は、英会話に慣れてきて会話に余裕ができてからです。余裕ができて初めて英語自身の細かい部分に目を向けられ、英語をブラッシュアップできるようになります。それまでは文法も恥も捨て、がむしゃらに伝えたいことを伝えるだけを考えることが、英語上達への早道です。
英語学習は彫刻作りに似ています。最初のうちは荒削りでモノの大まかなことしか表現できませんが、スキルが上がっていくとだんだんと豊かに表現できるようになり、相手に彫刻の形が何を表してるかハッキリ伝えられるようになります。コツを掴むまではなかなか素晴らしい彫刻を作ることはできないでしょう。練習を重ねることで、そのスキルが上がっていきます。
英語も同様に、最初は荒削りで大ざっぱな内容しか伝えられなくても、どんどん使えば使うほど詳細を表現できるようになり、伝えたいことの内容が具体的に伝えられるようになります。
いきなりミケランジェロのダビデ像のような彫刻は作れません。荒削りな人の形から始まり、たくさん練習することで骨格や筋肉が細かく表現できるようになり、表現力豊かな彫刻になっていくのです。言語はそこまで特殊なスキルではありません。練習を積むことで誰もが身に付けられるものですから。